立春に想う-私たちにできること-
- akiyama340
- 2月2日
- 読了時間: 2分
更新日:2月13日

冷たい北風が吹く立春の季節になると、10年以上前に失った一人の従業員のことを、今でも深く胸に刻んでいます。優秀な技術者として活躍されていた彼は、突然の行動変化から始まり、最期の日を迎えるまでの数か月間、私たち産業保健スタッフも懸命にサポートを試みました。
この経験から、産業保健の現場で働く私たちが学んだこと、そして今後に活かすべき教訓について、皆様と共有させていただきたいと思います。
小さな変化に気づくことの大切さ
最初の兆候は、突然の無断欠勤と仕事上のミスでした。それまで真面目に勤務されていた方の様子が変わることは、重要な警告サインかもしれません。職場での些細な変化が、心の中の大きな揺れを示している可能性があります。
「いつもと違う」という直感を大切に
最期にお会いした節分の日、「眠れない」という訴えを聞き、通常通り医療機関への相談を促しました。しかし、その時の「何かいつもと違う」という違和感は、専門職としての直感だったのかもしれません。今思えば、もう少し時間をかけてお話を聞くべきでした。
これからの産業保健に求められること
この経験から、以下の点を特に重要と考えています:
予防的アプローチの強化
・定期的な面談機会の確保
・上司・同僚との密な情報共有体制の構築
・ストレスチェック後のフォローアップの徹底
「気づき」の感度を上げる
・管理職への教育強化
・職場全体でのメンタルヘルスリテラシーの向上
迅速な対応体制の整備
・産業医、専門医療機関との連携強化
おわりに
一人の命が失われたことへの悔いは、決して消えることはありません。しかし、この経験を無駄にすることなく、職場のメンタルヘルスケアの向上に活かしていきたいと思います。
私たち産業保健師にできることは、働く人々の小さなSOSを見逃さず、適切なケアにつなげていくこと。そして、誰もが安心して働ける職場づくりに貢献していくことです。
今この記事を読んでいる皆様、周りの方の様子がいつもと違うと感じたら、ためらわずに声をかけてください。その一歩が、大切な命を救うきっかけになるかもしれません。
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